インターン

マルタでのインターンの話

今回は大学の夏休みを利用して行ったマルタでのインターンについて紹介します。

きっかけ

こちらの大学の夏休みは3か月以上あるため、もともとハンガリーに来る前からその期間はインターンをしようと考えていました。勤務地が英語圏、もしくは英語を社内で使用していること、大学での勉強内容と関連のある職種、インターン紹介料などに高額な費用がかからないこと、などを条件として探していました。

まず探し始めて分かったことは、正規留学でない日本人の学生が、ヨーロッパで夏休みという短い期間でのインターンを見つけるのはかなり難しいということです。最初の1、2か月はErasmusの情報サイトなどを使って探していましたが、どれもEU市民でなければならなかったり、Erasmusの学生でなければならなかったりとなかなか自分のできるインターンを見つけられませんでした。

また、海外インターンを斡旋している会社はいくつかありましたが、どれも高額なインターン紹介料が取られるため、生活費+αぐらいを想定していた予算とは合わず諦めざるを得ませんでした。大学のオフィスにも行き、こうした事情を話してインターンの紹介案件が来たら僕に伝えてもらうことにもなりましたが、やはりなかなか全ての条件に合致するものはありませんでした。

こんな話を友人にしていると、ある時マルタではインターンを採用している会社が多くあるということ聞きました。マルタは英語も公用語となっており場所的な条件としては問題なかったため、マルタでの情報収集を始めました。すると思いのほか早くマルタでのインターンを斡旋している会社を見つけました。「Stage Malta」という会社です。この会社は自分の希望する職種に合ったインターンシップを、現地の提携会社の中から選んで紹介してくれるというサービスでした。料金もそこまで高くなかったため、また、既に時間があまりなかったためこの会社を利用することに決めました。

まず会社に連絡をし、面接日時を決めます。その後面接の際に、こちらの要望などを伝え、後日会社からインターン先についての連絡がきました。一連のプロセスがスムーズに進んだ点は好印象でした。

 

インターン内容

オフィスからの景色

そしていよいよマルタに到着し、数日後から働き始めます。僕はマーケティング、もしくはコンサルティングの職種を希望し、最終的にデジタルマーケティングというポジションで、プライベートボートやヨットをチャーターするプラットホームを提供している(いわばプライベートボートのAirbnb)現地のスタートアップの会社に採用されました。設立からわずか一年ほどしか経っていないのでやることは山積み、というのが初めの頃の印象でした。

そしてまずはリサーチ業務を任されました。これから現地のホテルやゲーミングカンパニー(マルタはカジノ大国としても有名なため多くのこうした会社があります)と提携していくため、マルタにある全てのホテル、ゲーミングカンパニーの住所、電話番号から、それぞれの会社がどのSNSを、どのくらいの頻度で、どういった内容を投稿しているかなどを一つ一つ調べ、データ化しました。

次に、ヨーロッパ、アメリカなどにある競合他社の分析です。会社の従業員数、オフィス所在地、役職、などの会社のプロフィールから、設立からの成長スピード、プラットホームを提供している国・地域、どこからどのくらいの額の投資を受けているか、SNSの利用状況に至るまで、とにかく集められるだけの情報を集めました。こうした作業は当初自分が予期していたものとは違いましたが、実務経験を積むというのも一つの目的だったため、どの会社に入っても必要となるリサーチ業務を実務として経験できたのは有益だったと思います。

そして、次にこれから海外進出していくために外国の市場分析も任されました。主に海に面しているヨーロッパの国(スペイン、ポルトガル、フランス、クロアチア、ギリシャ、イタリア、トルコなど)や、それ自体で巨大なマーケットを有するアメリカを中心に様々な側面から市場を調査・分析し、これからどの国に進出していくべきかなどについてのレポートをまとめました。

ここまでは、正直デジタルマーケティングという職とはあまり関連がないような業務が中心でしたが、これ以降はSNSのコンテンツ作りを行いました。広告・宣伝はTwitterやInstagram、FacebookなどのSNSだけで行われます。そのため、この作業はマーケティング(デジタルマーケティング)そのものであり、今まで勉強科目に過ぎなかったマーケティングというものが、実際のビジネスにおいてどのように機能しているのかを学ぶことができました。

 

得たもの

まずインターンの内容云々、の前に社会人になることに対する具体的なイメージを少しでも掴めた点は良かったです。毎朝早起きをし、一日働き、帰りに買い物をして、晩飯と翌日の昼飯を作り、その後友人と出かけたりするなど、普通の一人暮らしの社会人の生活がどれだけ大変なものなのか、たった数か月ですが感じることができました。

また、スタートアップで働けたという点も、有益な経験となりました。よく言われるスタートアップのイメージとして、成長スピードが早い、裁量権が大きい、実力主義などがあると思います。僕も説明会やセミナーなどでこうした情報をよく耳にしていましたが、正直話を聞いただけでは、ほとんど具体的なイメージは掴めていませんでした。

しかし、一たびベンチャーに入ってしまえば、すぐにこうしたイメージを具体に落とすことができます。会社自体は10人いるかいないかの小さな会社なので、ほとんど一つのポジションに一人か二人。それはまぁ当然、裁量権は大きくなります。一日に何度もディレクターと話し合うというのも当たり前で、ポジション、勤続年数などに関わらず自分の意見を伝えることのできる環境なのだな、と感じました。

一方で、僕が働いている間に一人の社員の方が突然解雇されました。その方の仕事は確かに専門的なスキルを必要とするものではなく、言うなればアルバイトのようなレベルのものでしたが、会社に不要となれば即解雇となるそのスピード感を肌で感じることで、いかに個人としてのスキルを身に着けておくことが重要かが分かりました。

では、インターンの内容全てに満足だったかと言われると、デジタルマーケティングというポジションも鑑みると、少し物足りない感があったのは否めません。現代のマーケティングがどのように顧客とコミュニケーションを図り、会社側の意図をどのような方法で、どれくらいの金額をかけながら発信し、それが実際にどれほどの利益に繋がるかなどの仕組みを理解できたことはとても良かったです。

しかし、では結果的に自分にデジタルマーケティング職としてのスキルが身についたのかを考えると、疑問符が残ります。これは、エージェンシーを通してのインターンであることや、短い期間などを考慮すると仕方なかったのかなと、終わった今だからこそ思います。これは私だけでなく、一緒に暮らしていた他のインターン生も似たようなことを言っていました。

なので、より負荷の大きい経験を積みたい場合は、Stage Maltaに限らず、安易にインターンを斡旋している会社を利用するのはあまりおすすめしません。そうした会社を利用すると費用が高くなるだけでなく、自分たちが実際に働く企業にとっても「お客さん」になってしまうため、企業側からの仕事における要求レベルが下がってしまうこともあるためです。

もちろん、インターン探しにかかる時間の圧倒的な短縮や、紹介できる職種の幅広さ、現地でのサポートなどのメリットもあるので、自分の状況を踏まえながらこうした会社を利用するか否かは判断すると良いと思います。

 

マルタでの生活

文字通り「浮いている」ように見える海

ここからは少し、マルタでの生活についても紹介します。結論から言うとマルタ、めちゃくちゃ良いです。日本ではまだあまり知名度は高くありませんが、だからこそ、マルタの良さを知っていることに誇りすら覚えるほどです。

まず、海がめちゃくちゃ綺麗です。今まで日本や海外の海もそこそこ見てきましたが、そのどれとも違う地中海特有の透き通った青色をしていて、初めて見た時は感動さえしました。

また、マルタは年間300日以上が晴れなので、文字通り毎日快晴でとても気持ちがいいです。雨はほとんど降らず乾燥しているので、他のヨーロッパとは少し違った街の景色をしています。また、夏の暑さは強烈で毎日40℃以上にまでなり、暑すぎるから今日は外に出るなといったニュースもありました(笑)物価は他のユーロ圏の国とあまり変わらず、特に外食などは少し高めです。

また、電車や地下鉄などは通っておらず、基本的にどこに行くにもバスでの移動となります。そのため定期は必須です。以下のサイトでそのカード(Tallinja card)についての説明と購入方法が書いてあるので、これから行く人は見てみて下さい。(https://www.publictransport.com.mt/en/tallinja-card

基本的な僕の生活スタイルとしては、平日はたまに仕事後飲みに行ったり、休日はフラットメイトや現地で出来た友人と出掛けたりしていました。同じくマルタにインターンに来ていたトルコ人やイタリア人の友人と毎週行きつけのレゲエバーに行き、そこでも多くの黒人の友人ができました。アフリカに近いこともあり、比較的黒人も多くいるのもマルタの特徴かと思います。アフリカンカルチャーも個人的にとても好きなので、ここでの出会いは本当に貴重でした。

またクラブにもよく行きましたが、そこはヨーロピアン、まーーー飲む。僕も飲むのは好きですが強くはないので、一緒のペースで飲んで死ぬなんてことはよくありました(笑)そのおかげで何度か危ない経験もしました(笑)マルタでは激安のショットバーがクラブ街の至る所にあるので、皆さんも飲みすぎには気を付けてください。

ちなみに海沿いにあるカフェやバーの雰囲気は格別です。左の写真は”Café del Mar”という、勝手に推測するにマルタで一番有名なプール付きカフェ(?)です。見ての通りプールの目の前には海があり、サイドにはもちろんサンベッドやソファーなどのチルスペース付き。普段からクラブに近いぐらいの音量で音楽が流れているのですが(メインストリームな安っぽい音ではないのがこれまたgood)、なんと日によって夜にはここがそのままクラブ会場にもなります。これ以上何を望みましょうか。そんな素敵な場所なのでマルタに来た方はぜひ、というよりもはやここに来るためにマルタに来てもいいぐらいの場所かと思います。

マルタは確かに小さな島国ではありますが、こうした場所の他にも別世界のような静けさの旧市街や、幾何学模様の天井を有する教会など、素敵な見どころは多くあります。是非一度訪れてみてください。一生記憶に残る場所となることは間違いありません。

 

まとめ

だらだらと色々書きましたが伝えたいことは

・海外でのインターン探しは時間がかかるから早めに行動を

・まずは自力でインターンを探す、それで見つけるのがベスト

・マルタ良いとこ行ってみて

ということだけです。先にも書きましたがヨーロッパにおいて日本人留学生にフィットするインターン情報は、こちらから求めない限りほとんどありません。インターンを探すのであれば、地道ですがLinkedInなども使いつつ現地企業に直接連絡するのも一つの手かと思います。

とにかく、もし少しでもインターンに興味があるならば、どういった形であれやってみることをおすすめします。とりあえずやっちゃえばどうにかなるもんです。では~

 

*Stage Maltaについて補足

Stage Maltaについての情報をもう少し載せておくので、参考にしてみて下さい。Stage Maltaの仕組みとして、インターン紹介料という名目の費用は取りませんが、その代わりに会社の所有する家(複数人で暮らすフラット)の家賃、空港の送迎費などが自動的に料金に組み込まれます。家自体の選択はできないため、何人部屋かの希望を伝えた後は、どこのどのような家になるかは行ってみるまで分かりません。僕は一人部屋を希望しましたが、家には既にフランス、ドイツ、イギリス、スロヴェキアなど様々な国から来た7人の女の子が住んでいたため、男:女=1:7という日本ではあり得ないような状況で暮らしていました(笑)

また、マルタ自体あまりインフラが整っている印象はありませんが(wifiが突然止まる等)、特にこの「家」に関しては問題点が多かったように感じます。キッチンが突然停電して何も使えない、冷蔵庫が何度か故障し中身のものが全部ダメになる、酷暑にも関わらず家にはエアコンがない、さらに網戸もないため窓を開けると今度は蚊に悩まされるなど、しょっちゅう何かしらの問題は起きていた気がします(笑)

しかし同時に日本の便利すぎる環境に慣れた自分を叩きなおすという意味では良かったかもしれません。日本の生活に慣れていると、マルタに限らず海外に出て「より不便」になることはあっても「より便利」になることはほとんどないので(笑)

https://www.goodfriends.jp/village/language-schools

ABOUT ME
Hiromasa
神奈川生まれ、神奈川育ち。大学3年を終えてからハンガリーに1年間学部留学。「よく学び、よく遊ぶ」がモットー。