ハンガリー

コルヴィヌス大学 社会科学部の授業紹介

皆さんこんにちは!トモです

12月に入り、最近のブダペストはすっかり冷え込んでいます(大体3度前後)。ですが東京の冬と比べるとあまり風が吹かないせいか、思ったより何とかなっています!

そして街はイルミネーションが施され、ブダペスト市内にはクリスマスマーケットがいくつか出没し始めました!!!

バジリカ大聖堂はプロジェクションマッピング仕様!長針が12を指す時、何かいい物を見れるかも・・・?!

バジリカ大聖堂横のエリザベートスクエアにて

こちらはファッションストリートを抜けたVörösmarty térの広場にて

ホットワインであったまる〜〜〜♡

友人が頼んだグヤーシュシチュー。お値段3500フォリント・・・(普通のレストランだったら1500フォリントあれば食べられます。クリスマスマーケットで食べ物を食べるのはやめた方がいい・・・

さて本題へ。

今回は訳あって後期からコルヴィヌス大学(Corvinus University of Budapest)の社会科学部に転学した私が、この大学の授業を紹介して行きたいと思います!

今期は前期より多めに7つの授業を取ったのですが、ほぼ全ての授業が当たりで大満足でした!というのも、教授の英語が綺麗、授業が面白い、生徒のレベルが高い。そして前期よりも自分の英語力が僅かながら伸びたのか、90分の授業を集中して聞けるようになりました。(前期はまず英語を長時間聞き続けることが出来なかったし、分からない単語を羅列されると思考がストップしていました・・・。汗)

授業紹介に入る前にコルヴィヌス大学についてサラッとご紹介。

コルヴィヌス大学はハンガリーの国立大学の一つで、創業はなんと1920年!歴史ある大学です。社会科学系ではビジネス専攻が最難関と言われています。

こちらはメインビルディング!カッコイイ!

私がよく通っていたのはメインビルディングから100メートルほど離れたCビルディング。モダンな造りです

コルヴィヌス大学の最大の魅力はロケーションにあると私は思います。何故ならなんとあのドナウ川の真隣!

授業終わりにふら〜っと川辺に立ち寄ったり、遊歩道のベンチに座って自由橋とチタデラをぼ〜っと眺めたり、、ブダペストの最大の魅力であるドナウ川をこんな近くに感じられるんです!

さらにメインビルディングの隣はあの有名なセントラルマーケット!そこでは毎日新鮮な野菜や果物が手に入るので、授業が終わって、少し川を眺めてからそこのマーケットに行くのが私のルーティーンでした(笑)。

お待たせしました、それでは授業紹介へ行ってみましょう〜!

授業紹介

Society And Arts (セミナー)

この授業では主に近代のアートを取り扱いながら、その絵が生まれた背景、当時の時代背景などを考察していく授業です。

元々私自身アートが好きということもあり、この授業は非常に興味深いものでした。ただ他の生徒は私なんかより更にアートへの造形が深く、彼らの発言にしばしば付いて行けないことも。それでも同じアート好きな人の解釈を聞くのはとても有意義な時間でした。

学期末のグループプレゼンテーションでは「現代の社会問題をアートと絡めて説明しなさい」という課題が与えられ、私たちは「Environmental Art(環境アート)」について発表をしました。グループで課題をこなすのはこれで2回目だったので、大分要領を得たということもあって、比較的スムーズに準備を進める事が出来たのが良かったです。

参考に、プレゼンテーションに使ったパワーポイントの一部を載せておきます。

クリスマス前に発表があったので、グループメンバーのベトナム人がパワポをクリスマス仕様にしてくれました、かわいい♡

China Studies(レクチャー)

これは名前の通り中国について、歴史から文化まで幅広く勉強する授業です。結構受講人数が多く、教授のフレンドリー(そしてイケメン。笑)なキャラクターも相まって、終始賑やかなクラスでした。なのでレクチャーというよりセミナーに近く、積極的な発言が求められることもしばしばありました。

また授業に絡めて日本の話が出る事もあり、その度教授が「合ってるよね?」という感じでこちらを見てくるのがキュートでした(笑)。

余談ですが、私が留学して良かったな、と思うことの一つに中国人、韓国人と仲良くなれたこと、というのがあります。私たちは同じアジアに属しており、歴史的にも文化的にも共通点を多く持ちながらも、言語が違うということでコミュニケーションが取りにくく、私的にはどこか遠い存在という風に認識していました。

しかしブダペストに来て、英語という言語を用い、初めて彼らとコミュニケーションを取れた時、私はひどく感動しました。ニュースや本だけで得た情報とはまた違う彼らの新しい一面、それらを直接自分の目で知るという経験によって、私は彼らをとても身近に感じる事が出来ました。

この授業でも何人かの中国人と仲良くなり、一緒にランチをしたりして、とても素敵な時間を共有することが出来ました。

Philosophy(レクチャー)

日本の大学でも元々好きで哲学の授業を取っていたので、わりと馴染みの深い話を英語で聞きなおした、という感じでしたが、哲学の知識が全く無い人でも簡単に哲学の基本に触れられる授業だったと思います。

トピックの例として、『幸福について、何が生活を価値あるものにするか』、『美徳と善について』、『幸運、運命、摂理について』、『心と身体』など。

私が覚えている印象深い話は、『心と身体』の回で習った思考実験、水槽の脳(brain in a vat)の話です。せっかくなのでご紹介しておきます。

水槽の脳とは
ある科学者があなたの頭から脳を取り出し、特殊な成分の培養液で満たされた水槽の中に入れるとする。脳の神経細胞を、電極を通して高性能なコンピューターに繋ぎ、あなたの脳波は科学者によってコントロールされる。意識は脳の活動によって生じるものであるから、水槽の脳は科学者によって通常と同じような意識が生じている。つまりあなたは脳があなたの頭から取り外される前と何ら変わらず、物事を知覚でき、普段通りの生活を営んでいる。さて、あなたが現在知覚している世界はひょっとしたら水槽の中の脳が見ている幻覚ではないだろうか?

授業で見た分かりやすい動画はこちら↓

Films and History(レクチャー)

これは二週間に一度だけある、比較的ゆる〜い授業でした。何故ならただ2時間映画を観るだけ!その後ほんの少しディスカッションをするだけ!

趣味が映画鑑賞ということもあり、この授業はまさに天国!期末試験は授業中に観た映画と歴史を絡めて批評を書くというものだったので、楽しみながらエッセイを書くことができました。

Social Inequality(セミナー)

これはグラフを用いて不平等がどう展開されているのか、国ごとの傾向、背景について議論していく授業です。

私は数字などを見るのが大の苦手なのですが、前期にMeasuring well-being and social progressという授業を取っていたので、グラフの数値をどう見るか、またどう他国と比べるかなどの方法を学んでいた為、さほど苦労せずに授業に付いていくことが出来ました。

これは期末テスト以外にも中間テストがあったのですが、教授が事前に出るところを教えてくれ、さらにはポイントをネットにアップしてくれた(神)ので、何とか乗り切ることが出来ました。

参考に、ノートの一部を載せておきます。

New Media Literacy(レクチャー)

これも名前の通り、インターネットが発達した現代のメディア社会と、それにおけるメディアリテラシーについて考えよう、という授業です。

例えば、『どのように今のメディア社会へ移り変わったのか』、『メディアの種類』、『ビッグデータについて』、『言論の自由』、『SNSから生じるいじめ』について勉強しました。

ここで授業中に見た面白い動画をご紹介したいと思います。

これはイギリスのNGO団体Cifasが、SNSから個人情報を盗み取られる危険性を訴える啓発実験の動画です。

舞台はとあるカフェ。店先の看板には『Facebookのいいね!で、コーヒーを無料サービス』と書かれており、それを見たお客さんが来店すると・・・

正直授業自体はそんなに難しくはなかったのですが、教授の英語がもの凄い早くて聞き取りに一番体力を使った授業でした(笑)

Gender Studies(セミナー)

これは出席する度、目から鱗の授業で、私が今期一番力を入れていたものです!!!

そもそも日本では「ジェンダースタディー」なんていう授業自体珍しいですよね。まず「ジェンダー」とは何か。これは社会の変遷と共に変わる社会的・心理的な性別のことを指します。つまり「ジェンダー」は常に変動的であり、反して「セックス」は生物学的に生まれ持った男女の性別で、変動することはまずない概念です。

この授業は現代における男女の役割について考えていこう、という私にとってかなり前衛的な授業でした!

例えば、仕事のインディケーターを見た時「何故男の方が長期雇用されやすいのか、雇用保障が高いのか」(※1 ちなみに日本は雇用保障における男女平等さは40カ国中最下位)、また何故「男は話を聞かない/甘い物を好まない、女は感情的/地図が読めない」等の迷信が未だに語り継がれるのか・・・

数字で目に見えるものから、日常に潜む些細な性差別について考え、議論していくことによって新しい発見があり、そこから「ではどうすれば良いか」という所まで話を進めることもあって、毎回刺激的な授業でした。

またここで大事なのは「ジェンダースタディー」は決してか弱い女だけを救う為の学問では無い、ということです。

「ジェンダースタディー」は、性差によって出来た不利益をどう補い合うかということに重点を置いていて、それは例えば「女より金を稼いで、女より酒が強くて、筋肉質で逞しい」というプレッシャーに耐え忍ぶ”男”を救う学問でもある訳です。

実際授業に参加していた複数の男子生徒から「自分は男としての期待を家族から負わされていて嫌だ」、「自分は髪の毛を伸ばしたいし、周りの目を気にせず明るい色の服を着たい」と言った意見を聞いて、成る程、もし皆が「男はこう、女はこう」等と言った固定概念から解放されたら、それはもっと自由で生きやすい社会になるだろうと確信しました。

学期末はグループを組んでプレゼンテーションを行ったのですが、私たちのグループはFemale Genital Mutilation(女子割礼)について発表をしました。日本語でもあまりピンとこないトピックだったのですが、調べれば調べるほどいかにFGMが女性の健康にとって有害であるか、そして現在2億人の女性がそれを施されたこと(※2)、さらに300万人の若い女性がその危険に晒されているという事実を知り、衝撃を受けました。長くなるので割愛しますが、このような自分にとって未知のテーマを、グループメンバーと協力しながら一つの形に出来たことをとても誇らしく思います。

※1 OECD Better Life Index http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan/

※2 WHO Female Genital Mutilation https://www.who.int/reproductivehealth/topics/fgm/prevalence/en/

終わりに

いかがでしたか?

拙い文章ではありましたが、この授業紹介が皆さんの授業選択の際に役立ってくれると幸いです!

それではまた次に記事でお会いしましょう〜!